○山県市「子育ち」応援条例

令和6年3月22日

条例第11号

全てのこどもは、輝く個性と無限の可能性を秘めています。そして、そのこどもたちは、未来をつくる希望であり、かけがえのない存在です。しかし、急速な少子化や家族の多様化、地域とのつながりや人間関係の希薄化が進み、こどもの貧困、いじめや児童虐待が社会問題化する等、こどもや子育てを取り巻く状況の変化を見過ごすことはできません。

そうした中、山県市には、清流や緑豊かな森林が持つ自然の恵み、先人たちが築き上げてきた長い歴史や豊かな文化、地域に根ざした産業が培われており、こうした環境は子育てやこどもの成長にとって恵まれた条件といえます。

そもそも、こどもは身体的及び精神的に未熟であり、こうした地域社会全体で相互に連携・協力して見守り、子育ちを応援するまちづくりを進めていくことは、とても重要なことであると考えられます。無論、こども自体も自分自身を大切にし、互いに思いやり助け合いに努める必要があります。

そのようにして、こどもが心身ともに健やかに育ち得る社会を実現していくことは、誰もが豊かで安心して暮らすことのできる社会の実現にもほかなりません。

そこで、子育ち応援についての基本理念を明らかにし、子育ちを応援するための施策を総合的に推進するため、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、子育ち応援についての基本理念を定め、市、保護者、地域住民、学校等及び事業者それぞれの責務及び役割並びにこどもの役目等を明らかにするとともに、市が取り組むべき施策を総合的かつ計画的に推進することにより、こどもが健やかに成長できる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、用語の定義は次のとおりとする。

(1) 子育ち応援 こどもを大切にし、こどもが自ら成長していく姿を家族みんなで、地域ぐるみで見守ることをいう。

(2) こども 子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第6条第1項に定める子ども(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者)をいう。

(3) 保護者 子ども・子育て支援法第6条第2項に定める保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護する者)をいう。

(4) 地域住民 こどもが育つ地域に居住し、勤務し、若しくは在学する個人又は市内で活動する法人その他団体をいう。

(5) 学校等 学校、幼稚園、保育園、認定こども園、児童福祉施設その他こどもが学び育つことを目的とする施設をいう。

(6) 事業者 市内に事務所を有し、又は市内で事業活動を行う個人、法人又は団体をいう。

(基本理念)

第3条 子育ち応援は、次の各号に掲げる事項を基本理念として推進するものとする。

(1) こどもの健やかな成長及び自立が図られるとともに、こどもの権利が尊重されること。

(2) こどもが安心して育つことができる環境が確保されるとともに、社会全体で子育ち応援に取り組む意識が地域に根付くようにされていくこと。

(3) 市、保護者、地域住民、学校等及び事業者が、それぞれの役割を認識し、子育ち応援に主体的に取り組むとともに、相互に連携・協働して行うこと。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念にのっとり、こどもの健やかな成長及び自立が図られるようにするため、必要な施策を講ずるものとする。

2 市は、保護者、地域住民、学校等及び事業者がそれぞれの役割を果たすことができるような支援及び調整を行うとともに、関係機関との連携に努めるものとする。

(保護者の役割)

第5条 保護者は、家庭がこどもの心身の成長や人格形成に基本的な役割を果たすことを認識し、こどもが心身ともに安らぎ、安心できる居場所となるよう努めるものとする。

2 保護者は、こどもが社会生活を営む上での基礎的な生活習慣を身に付けることができるよう、年齢及び発達に応じて、自立的に成長できるよう愛情を持って子育てするものとする。

(地域住民の役割)

第6条 地域住民は、地域のこどもたちに関心を持ち、こどもが地域との関わりの中で、健やかに育つ環境づくりに努めるものとする。

2 地域住民は、こどもの育ちを支援する取組に協力し、大人から一声掛けるよう努めるものとする。

(学校等の役割)

第7条 学校等は、こどものありのままを受けとめ、一人一人の成長に応じた支援に努めるものとする。

2 学校等は、保護者や地域住民とともに、こどもに係る情報を共有し、こどもの成長を積極的に認め、励ますよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第8条 事業者は、子育てに関する理解を深めるとともに、職場で働く保護者が仕事と子育てを両立できるよう、就労環境の整備に努めるものとする。

2 事業者は、こどもの育ちを支援する取組に協力し、応援するよう努めるものとする。

(こどもの役目)

第9条 こどもは、命の尊さを知り、自分自身を大切にするとともに、人を思いやる心を持ち、互いに助け合うものとする。

(基本的施策)

第10条 市は、こどもが健やかに育つための支援を行うとともに、保護者、地域住民、学校等及び事業者と連携・協働し、次に掲げる施策を実施するものとする。

(1) こどもが自然や文化、地域社会との関わりの中で様々な経験や多世代との交流ができる機会の提供

(2) 犯罪、交通事故その他こどもの健全な成長を阻害する危険等からこどもを守り、こどもが安全に、かつ、安心して過ごすことができる環境の整備

(3) 障がい、虐待、いじめ、不登校、経済的困難等を理由とした支援を必要とするこどもに対し、当該こどもの置かれた状況及び環境に応じた必要な支援

(4) 虐待、いじめ等の防止、早期発見及び迅速な対応に必要な施策

(5) 地域住民、学校等、事業者、警察及び医療機関等と連携し、保護者が安心して子育てをすることができるようニーズに応じた幅広い支援

(6) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項

(財政措置)

第11条 市は、子育ち応援に関する施策を積極的に推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。

(委任)

第12条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

山県市「子育ち」応援条例

令和6年3月22日 条例第11号

(令和6年3月22日施行)