○山県市職員の懲戒処分に関する基準
平成15年10月29日
訓令甲第47号
(趣旨)
第1 この基準は、任命権者が地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条に規定する懲戒処分又は訓告、厳重注意若しくは注意の処分(以下「懲戒処分等」という。)に付すべきものと判断した事案について、代表的な事例を選び、職員の懲戒処分を厳正かつ公正に行うため、標準的な処分量定及び量定の決定に関して、必要な事項を定めるものとする。
(基本事項)
第2 任命権者は、懲戒処分の種類及び量定を決定するに当たり、次に掲げる事項を総合的に考慮し、別表第1に掲げる懲戒処分の対象となる非違行為及び当該非違行為に係る懲戒処分の標準的な事例(以下「標準例」という。)を参考にして、適正に判断するものとする。
なお、標準例に記載のない非違行為については、標準例に掲げる取扱を参考として判断するものとする。
(1) 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
(2) 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
(3) 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
(4) 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
(5) 過去に非違行為を行っているか
(6) 日頃の勤務態度及び非違行為後の対応はどうであったか
(7) 一の非違行為が二以上の懲戒事項に該当する場合には、その重き方による。
(8) 二以上の非違行為に該当する場合は併合して処分する。
(懲戒処分等の軽減、免除)
第3 任命権者は、非違行為を総合的に勘案し情状が酌量すべきものである場合には、当該行為の程度によって、別表第2により懲戒処分等を軽減又は免除することができるものとする。
(懲戒処分等の加重)
第4 任命権者は、非違行為を行った職員又は非違行為が次に掲げる事項のいずれかに該当する場合には、別表第2により懲戒処分等を加重するものとする。
(1) 過去5年以内に懲戒処分等を受けている場合
(2) 第2の(8)の規定により、併合して処分を行う場合
(3) 職務上の地位を利用した場合
(4) 発生した非違行為を隠ぺいした場合
(5) 非違行為が極めて悪質な場合、又はその結果が重大な場合
(管理監督者責任)
第5 任命権者は、職員の懲戒処分等を行う場合において、当該職員を管理監督する者(以下「管理監督者」という。)が次のいずれかに該当する場合には、当該指導監督者に対しても懲戒処分等を行うものとする。
(1) 部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した場合
(2) 部下職員が懲戒処分等を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた場合
(関係職員の懲戒処分等)
第6 任命権者は、職員の懲戒処分等を行う場合において、当該職員以外の職員が次のいずれかに該当する場合には、当該関係職員に対しても懲戒処分等を行うものとする。
(1) 非違行為をした職員に対して、当該非違行為に係る事項を教唆し、又は当該非違行為を幇助したと認められる場合
(2) 職員の非違行為を知得していたにも関わらず、これを黙認したと認められる場合
附則
(施行期日)
1 この基準は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この基準第4の(1)の適用に際しては、山県市職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(平成15年山県市条例第27号。以下「条例」という。)の施行の日の前日において、合併前の高富町、伊自良村若しくは美山町又は解散前の山県消防組合、山県郡環境衛生施設組合、山県郡老人福祉施設事務組合、山県郡保健福祉事務組合若しくは山県郡障害児療育施設事務組合に勤務していた職員で引き続き当該条例の適用を受けることとなった職員のうち、合併前の高富町職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(昭和42年高富町条例第21号)、伊自良村職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(昭和30年伊自良村条例第6号)若しくは美山町職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(昭和45年美山町条例第17号)又は解散前の山県消防組合職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(昭和56年山県消防組合条例第9号)、山県郡環境衛生施設組合職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(昭和49年山県郡環境衛生施設組合条例第4号)、山県郡老人福祉施設事務組合職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(昭和62年山県郡老人福祉施設事務組合条例第6号)、山県郡保健福祉事務組合職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(平成10年山県郡保健福祉事務組合条例第7号)若しくは山県郡障害児療育施設事務組合において高富町の条例を準用する条例(平成3年山県郡障害児療育施設事務組合条例第7号)の規定により処分を受けた者については、その処分を受けた日において当該条例の相当規定により当該処分を受けたものとみなす。
附則(平成17年6月6日訓令甲第10号)
この基準は、公布の日から施行する。
附則(平成18年10月27日訓令甲第36号)
この基準は、平成18年11月1日から施行する。
附則(令和3年1月4日訓令甲第1号)
この訓令は、公表の日から施行する。
附則(令和5年3月29日訓令甲第6号)
この訓令は、令和5年4月1日から施行する。
別表第1(第2関係)
非違行為の種類 | 非違行為の標準例 | 懲戒処分の種類 | |
1 一般服務関係 | |||
欠勤 | 正当な理由なく過去1年間に10日以内の間勤務を欠いた場合 | 減給又は戒告 | |
正当な理由なく過去1年間に11日以上20日以内の間勤務を欠いた場合 | 停職又は減給 | ||
正当な理由なく過去1年間に21日以上の間勤務を欠いた場合 | 免職又は停職 | ||
遅刻・早退 | 勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた場合 | 戒告 | |
休暇の虚偽申請 | 病気休暇、特別休暇、介護休暇、育児休業等について虚偽の申請をした場合 | 減給又は戒告 | |
勤務態度不良 | 勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた場合 | 減給又は戒告 | |
営利企業事務従事 | 許可なく営利企業等に従事した場合 | 減給又は戒告 | |
職場内秩序びん乱 | 他の職員に対する暴行、暴言により職場の秩序を乱した場合 | 停職、減給又は戒告 | |
法令等違反・不適正事務処理・事務処理怠慢 | 故意又は重大な過失により、職務の遂行に関し法令等に違反したこと、又は不適正な事務処理をし、若しくは長期間にわたり事務処理を怠ったことにより、公務の運営に支障を生じさせ、若しくは市民等に損害を与え、又はその職若しくは市職員の職全体の信用を傷つけた場合 | 免職、停職、減給又は戒告 | |
公文書の不適正な取扱い | 公文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の公文書を作成し、又は公文書を毀棄した場合 | 免職又は停職 | |
決裁文書を改ざんした場合 | 免職又は停職 | ||
公文書を改ざんし、紛失し、又は誤って廃棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、公務の運営に重大な支障を生じさせた場合 | 停職、減給又は戒告 | ||
虚偽報告 | 事実をねつ造して虚偽の報告を行った場合 | 減給又は戒告 | |
違法な職員団体活動 | 地方公務員法(昭和22年法律第67号)第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業行為をした場合 | 減給又は戒告 | |
地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった場合 | 免職又は停職 | ||
情報漏えい | 故意に職務上知り得た情報を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた場合 | 免職又は停職 | |
盗難・紛失等過失により次に掲げる情報を漏えいした場合 | (1) 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第2条第1項に規定する個人情報 (2) 山県市情報公開条例(平成15年山県市条例第159号)第5条各号に掲げる情報 (3) 法令又は条例の定めにより、守秘義務を課されている情報 (4) 情報システムに係るパスワード及びシステム設定情報 | 停職又は減給 | |
(1) 公にすることを予定していない情報資産(個人情報を含む情報資産を除く。) (2) 情報セキュリティに対する侵害が市の事務又は事業の執行等に重大な影響を及ぼすおそれのある情報資産 (3) 漏えいした場合、行政に対する信頼を害するおそれのある情報 | 減給又は戒告 | ||
上記以外の行政情報を漏えいした場合 | 戒告 | ||
個人の秘密情報の目的外収集・利用 | その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集し又は利用した場合 | 停職、減給又は戒告 | |
政治的行為の制限違反 | 地方公務員法第36条第1項又は第2項の規定に違反して政治的行為をした場合 | 減給又は戒告 | |
地方公務員法第36条第3項の規定に違反して政治的行為を行うよう職員に求める等の行為をした場合 | 停職又は減給 | ||
公職選挙法(昭和25年法律第100号)第136条の2の規定に違反して公務員の地位を利用して選挙運動をした場合 | 免職又は停職 | ||
セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動) | 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした場合 | 免職又は停職 | |
相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した場合 | 停職又は減給 | ||
わいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患にり患させた場合 | 免職又は停職 | ||
相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った場合 | 減給又は戒告 | ||
相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行ったことにより相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患にり患させた場合 | 停職又は減給 | ||
パワー・ハラスメント(職務上の地位や人間関係等の職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的若しくは身体的苦痛を与え、又は職場環境を悪化させる行為等) | パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的苦痛を与えた場合 | 停職、減給又は戒告 | |
パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した場合 | 停職又は減給 | ||
パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患にり患させた場合 | 免職、停職又は減給 | ||
2 公金・公物の取扱い関係 | |||
官製談合 | 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(平成14年法律第101号)第2条第5項に規定する「入札談合等関与行為」を行った場合 | 免職又は停職 | |
収賄 | 職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をした場合 | 免職 | |
横領 | 公金又は公物を横領した場合 | 免職 | |
窃取 | 公金又は公物を窃取した場合 | 免職 | |
詐取 | 人を欺いて公金又は公物を交付させた場合 | 免職 | |
紛失 | 公金又は公物を紛失した場合 | 戒告 | |
盗難 | 重大な過失により公金又は公物を盗難に亡失した場合 | 戒告 | |
公物損壊 | 故意に職場において公物を損壊した場合 | 減給又は戒告 | |
出火・爆発 | 過失により職場において公物の出火爆発を引き起こした場合 | 戒告 | |
諸給与の違法支出・不適正受給 | 故意に法令に違反して給与等を不正に支給した場合及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして給与等を不正に受給した場合 | 減給又は戒告 | |
公金・公物処理不適正 | 自己保管中の公金の流用等公金又は公物の不適正な処理をした場合 | 停職、減給又は戒告 | |
3 公務外非行関係 | |||
放火 | 放火をした場合 | 免職 | |
殺人 | 人を殺した場合 | 免職 | |
傷害 | 人の身体を傷害した場合 | 停職又は減給 | |
人の身体を傷害した場合において傷害の程度が重いとき、又は暴力行為が悪質で危険なものであった場合 | 免職又は停職 | ||
暴行・けんか | 暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかった場合 | 減給又は戒告 | |
器物損壊 | 故意に他人の物を損壊した場合 | 減給又は戒告 | |
横領 | 自己の占有する他人の物(公金及び公物を除く。)を横領した場合 | 免職又は停職 | |
窃盗・強盗 | 他人の財物を窃取した場合 | 免職又は停職 | |
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した場合 | 免職 | ||
詐欺・恐喝 | 人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた場合 | 免職又は停職 | |
賭博 | 賭博をした場合 | 停職、減給又は戒告 | |
常習として賭博をした場合 | 免職又は停職 | ||
麻薬・覚せい剤等の所持又は使用 | 麻薬・覚せい剤等を所持又は使用した場合 | 免職 | |
酩酊(めいてい)による粗野な言動等 | 酩酊(めいてい)して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした場合 | 停職、減給又は戒告 | |
淫行 | 18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を代償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした場合 | 免職、停職又は減給 | |
痴漢行為 | 痴漢行為、のぞき行為又は盗撮行為をした場合 | 免職、停職、減給又は戒告 | |
強制わいせつ | 暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合 | 免職又は停職 | |
ストーカー行為 | ストーカー行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第3項に規定する行為及びこれに類する行為をいう。)をした場合 | 免職、停職、減給又は戒告 | |
4 交通事故・交通違反関係 | |||
飲酒運転(酒酔い運転及び酒気帯び運転をいう。以下同じ。) | 事故の有無に関わらず飲酒運転をした場合 | 免職又は停職(諭旨免職) | |
飲酒運転となった状況、経緯に鑑み、特段の事情がある場合 | 3月を下限すとする停職 | ||
飲酒運転を知りながら同乗した場合 | 免職又は停職(諭旨免職) | ||
飲酒運転となることを知りながら飲酒を勧めた場合 | 免職又は停職(諭旨免職) | ||
交通事故(飲酒をした場合を除く) | 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた場合 | 免職、停職、減給又は戒告 | |
人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせ、かつ、救護等の措置義務違反をした場合 | 免職又は停職 | ||
人に傷害を負わせた場合 | 減給又は戒告 | ||
人に傷害を負わせ、かつ、救護等の措置義務違反をした場合 | 免職、停職又は減給 | ||
他人の物を損壊し、措置義務違反をした場合 | 停職、減給又は戒告 | ||
交通法規違反等 | 無免許運転等の悪質な交通法規違反をした場合 | 停職、減給又は戒告 | |
5 ネットワーク利用関係 | |||
不正アクセス | 他人のパスワードを使用し、又はコンピュータ・システムにおける安全上の不備を利用して不正にネットワークにアクセスし、システム又は情報資産等の破壊若しくは改ざんを行い又は情報を漏えいさせた場合 | 免職又は停職 | |
他人のパスワードを使用し、又はコンピュータ・システムにおける安全上の不備を利用して不正にネットワークにアクセスした場合 | 停職又は減給 | ||
不正アクセス等のほう助 | ネットワーク管理者又はパスワードを付与されている者のパスワードを第三者に提供した場合 | 停職又は減給 | |
ウイルス・不正プログラム等の利用 | 故意にウイルス又は不正なプログラム等を利用してシステム又は情報資産等を損壊させた場合 | 免職又は停職 | |
故意にウイルス又は不正プログラム等を利用してネットワークの適正な運用を妨げた場合 | 停職又は減給 | ||
6 管理監督者関係 | |||
非行の隠ぺい、黙認 | 部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した場合 | 停職又は減給 | |
指導監督不適正 | 部下職員が懲戒処分等を受ける等した場合で管理監督者の指導監督に適性を欠いていた場合 | 減給又は戒告 | |
7 関係職員関係 | |||
非行の教唆、ほう助 | 非違行為をした職員に対して、当該非違行為に係る事項を教唆し、又は当該非違行為をほう助したと認められる場合 | 停職、減給又は戒告 | |
非行の黙認 | 職員の非違行為を知得していたにも関わらず、これを黙認し、又は当該職員と共に非違行為を行った場合 | 減給又は戒告 |
備考
1 「死亡」には、事故後24時間以内の死亡を含むものとする。
2 「重篤な傷害」とは、治療時間(医師の診断書による、負傷者が2人以上の場合は、負傷者のうち最も負傷の程度が高い者の治療期間による。)が30日以上を要する傷害(事故後24時間経過後に死亡した場合を含む。)をいう。
3 「悪質交通法規違反」とは、道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)別表第2の1の違反行為に対する基礎点数が6点以上の違反行為をいう。
別表第2(第3、第4関係)
懲戒処分等 | 軽減する場合 | 加重する場合 |
免職 | 停職又は減給 | ― |
停職 | 減給 | 免職 |
減給 | 戒告 | 停職 |
戒告 | 訓告 | 減給 |
訓告 | 厳重注意又は注意 | 戒告 |
厳重注意又は注意 | 不問 | 訓告 |