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大桑城跡の発掘調査で守護土岐氏の庭園を確認
発掘調査で土岐氏に関係する庭園と建物を確認しました
大桑城跡では2年目となる発掘調査を、伝「台所」と曲輪群で実施しました。
伝「台所」では土岐氏に関係する庭園と建物の遺構を確認し、また曲輪群では輸入品の茶入や特注品の花器を含む、多量の陶磁器やかわらけが出土しました。
このことにより、土岐氏の山上の城での優雅な暮らしぶりの一端が明らかになってきました。
※この事業は、加藤精工株式会社からの企業版ふるさと納税での寄附と株式会社高富運輸からの寄附を活用して実施しました。
【調査の概要】
調査期間:令和3年9月13日(月曜日)から12月9日(木曜日)まで
※遺構保護のため、調査後に埋め戻しをしたことから、現地で庭園などの遺構を見ることはできません。
調査場所:伝「台所」と曲輪群(次の地図などを参照)
調査面積:約90平方メートル
発掘調査の場所(伝「台所」と曲輪群)
立体模型で見る発掘調査の場所
【調査の目的】
大桑城の中心部分と考えられる伝「台所」と曲輪群の構造の確認
【調査の成果】
成果1:伝「台所」で、土岐氏に関係する庭園と建物と考えられる遺構を確認しました。
伝「台所」の平坦地のほぼ中央部で、黒色の扁平な玉石、池状のくぼ地に貼り付けられた黄白色土、水の浸透を防ぐ鋼土を確認したことから、ここに、色彩を強く意識し、水をたたえた池を持つ美しい庭園があったと考えられます。
また、平らに削られた岩盤の中でも、特に丁寧に平滑にされた岩盤を確認しました。これは柱を建てていた痕跡と考えられ、ここに建物があった可能性が高いと思われます。
黒色の玉石
池状のくぼ地と黄白色土
池の浸透を防ぐ鋼土
柱を建てるために平滑に加工された岩盤
成果2:曲輪群で中国製磁器、瀬戸美濃産陶器、土師器皿(かわらけ)など250点以上が出土し、中には輸入品の茶入や特注品の花器が含まれることから、かなり高い地位の人が居住していたと考えられます。
曲輪群の出土遺物
【今回の発掘調査で分かったこと】
伝「台所」では、庭園とそれを眺める建物と考えられる遺構を確認しました。土岐氏は水をたたえる白色の池と黒色の玉石という色彩を強く意識した庭園を造り、美濃国の政治を行うかたわら、時に来客をもてなし、時に鷹の画を描くなど、権力者として、また文化人として優雅に過ごしていたと考えられます。
曲輪群では、輸入品の茶入や特注品の花器を含む陶磁器類が250点以上出土し、土岐氏に仕えた重臣のような、かなり地位の高い人物が居住していた可能性が考えられます。
【発掘調査現場の一般公開資料】
現場公開資料(表) [PDFファイル/1.24MB]
現場公開資料(裏) [PDFファイル/5.4MB]