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【移住者】念願の古民家カフェをオープン

記事ID:0016928 更新日:2020年8月31日更新

Sさん夫妻(自動車整備板金塗装業&飲食業)

(50代) 美山地区(岐阜市から移住)

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最初はキャンプみたいでした

1枚目

 夫「子育てが終わり、5年くらい前から夫婦で古民家を探し回りました。3年前にまるで引き寄せられるかのように出逢ったのが、今の家です。これまで見たどの家よりも状態が良かった。瓦や梁が落ちていないし、どの戸もスムーズに動く。白アリもいない。たくさんの家を見て回ってきたからこそ、これだ!と即決できました。5月に購入し、最初のうちは岐阜市の家から通いで古民家を修繕していましたが、一向に進まない。これでは駄目だと、1カ月後には以前の職場を辞めて独立することにしました。岐阜市の家も引き払い、夫婦だけでのガレージ生活。キャンプのようで毎日楽しかったですよ」

地元の方々が助けてくれました

2枚目

 妻「1年目はまさに土木作業です。ほこりやネズミのフンにまみれて床や壁をはがしました。2年目は漆喰やペンキ塗り。雨が続いて全身ベタベタになりながら土壁を作っているときは、泣きたくなりました。それも今となっては二人の良い思い出。3年目はインテリアをどうするか考えて、古民具の店などを見て回ったりもしました。一番楽しい時間でしたね。
 そうは言っても二人とも素人です。きっとご近所の方々は見ていられなかったんでしょうね。野菜をいただいたり、重機で手伝っていただいたり、お世話になりました。長テーブルやカウンターに使った一枚板は、そのときいただいたものです」

家が持つ歴史を感じています

3枚目

 夫「妻がイメージを伝えてくれるので、僕が形にする。すると、だいたいダメ出しが入る(笑)そこで、もう一度二人で考える。改築はその繰り返しです。玄関の階段も、長テーブルも縦にしたり、横にしたり、すべて現場合わせで大変でした」
 妻「おかげさまで、『この場所が好き』とおっしゃって、いつも窓際の席でひとり静かに読書されている女性もいらっしゃいます。ご近所の方たちが訪れて昔の思い出を聞かせてくださることもあります。この家を建てた大工さんは今もご健在で、カフェ開店をとても喜んでくださいました。この店が地域の憩いの場であってほしいと願っていたので本当にうれしいです」

ただ悩むよりも一歩踏み出そう

4枚目

 妻「店では手作りのケーキやカレーランチ、そしてモーニングサービスを提供しています。将来は地元で採れた季節の食材を使っていきたいですね。お客様には美しい里山の景色を眺めながらゆったりとした時間を心ゆくまで楽しんでもらいたいです」
 夫「僕の夢はレストア※。昔の車は味がある。それを元気にするのが生き甲斐です。そういえば、『味がある』というのは、地元の人に教えてもらった言葉。DIYが思い通りいかないとき、『それも味だよ』と言われて、気持ちが救われたことが何度もありました。ただ悩んでいるよりも、一歩踏み出すことが自分らしく人生をおくるには大切だと実感しています」

※レストア:老朽化した車を故障した部分だけでなく、美観も含めて新車のように復元すること。

(令和2年8月掲載)