ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > やまなび > 【移住者】「足るを知る」からこそ生まれる幸福感

本文

【移住者】「足るを知る」からこそ生まれる幸福感

記事ID:0026561 更新日:2022年1月6日更新

Kさん(自営業・委託型地域おこし協力隊)
(40代)美山地区(岐阜県から移住)

1

こんなにも近くに川の聖地があった

2

 神崎川との出逢いは30代半ば。当時、未知の川への憧れがあって、パックラフト(軽量カヤック)を抱えてあちこちの川を開拓していました。清流が好きなので、四国や和歌山まで通っていたのですが、まさかこんなに近くに僕が求めていた川があるなんて思いもしませんでした。しかし、実際にはここでの川下りは簡単ではありませんでした。神崎川は良質な鮎が獲れる重要な漁場。漁師さんたちはこの川に誇りを持っています。せめてオフシーズンだけでも川下りはできないか。淡い期待を抱きながら、ボランティア活動に参加したり、漁協組合に加入したり、まずは地域の人たちと同じ汗を流そうと美山に通い始めました。

委託型の地域おこし協力隊に

3

 4年前、地域を盛り上げようと奮闘する若者たちに出逢いました。川下りが無理なら、エリアを区切って川遊びができる拠点が作れるといいね。釣りも川遊びも川下りも一緒に盛り上がっていける地域モデルができるといいね。そう話し合っているうちに、地域おこし協力隊の募集要項にレンタルスペース「神崎よってちょ」の活用があると気づき、拠点づくりに活かせそうだと光が見えてきました。僕はアウトドアライター等の仕事をしているので従来型の協力隊は無理だけど、別のスタイルなら両立できるかもしれない。さらに模索を続けながら、昨年任意団体を立ち上げ、委託型地域おこし協力隊になりました。

ユーコン川での体験につき動かされて

4

 正直、僕は一人でコツコツやるほうが好きで、任意団体の代表をする柄ではありません。それでも決断したのは自分の内にずっと違和感があったからです。30歳でアラスカのユーコン川を下ったとき、何も無い中で死との恐怖と隣り合わせになりながら生きている喜びを全身に感じました。その後、元の生活に戻ってみると、街にあふれる商品や刺激、組織のしがらみテレビから流れる情報に違和感が生まれて。だから、美山の人たちの暮らしに触れて、ここだと思いました。必要なものを何でも作るたくましさ。足るを知る暮らし。ここで本来の幸せとは何かを子どもたちと一緒に考えたいと思うようになりました。

美山を愛する人たちとつながって

5

 美山を愛してやまない若者たちが他にもいます。ここで新たにおもしろいことがやりたいと通う経営者や、自然や人の温もりに癒やされに来る女性など。彼らとつながりながら美山を盛り上げていきたい。人が増えることでゴミや問題が増えるのではなく、問題を解決されていく活動をしたい。11月にはジョギングをしながらゴミ拾いをするイベントを実施。他にも企業のチームビルディングや研修に活用してもらえるコワーキングスペースを整えるなど、今はやるべきことが山積しています。そしていずれは、さらに山奥で一人自然の恵みを得ながら足るを知る暮らしを実践したい。実はそれが僕のひそかな夢です(笑)  

(令和3年12月掲載)