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【移住者】美しい山里に笑顔の花を咲かせたい

記事ID:0007479 更新日:2020年2月26日更新

柳家三亀介さん(劇団主宰)
(60代) 美山地区(愛知との二拠点生活)

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大衆演劇の一座を率いて全国を巡業

1枚目

 柳家「五島列島で生まれ、18歳で芸の世界に入りました。当初は新劇をやっていましたが、あるとき、日本舞踊の素晴らしい師匠と出逢い、日本の心、美しい所作に憧れ、そこから時代劇へ。さらに大衆演劇のメッカである長崎の血が騒いだのでしょう。気がつけば、銀之城一座を率いて全国を巡業する日々です。
一座の本拠地は名古屋ですが、10年ほど前から田舎にも家を探していました。膨大な数の衣装やかつらを保管しておく倉庫や、一座が大声を出して稽古できる合宿所が欲しかったことが主な理由ですが、さらにもうひとつ。一人だけで執筆活動に没頭できる静かな場所を私自身が求めていました」

執筆活動のために必要な場所

2枚目

 柳家「一座の公演やその他の企画でも脚本を書きますし、構成演出もやります。また、名古屋放送芸能家協議会の専務理事を務めている関係で執筆を頼まれることも多いのですが、名古屋にいるとなかなかそのための時間がまとめてとれません。そんな私に、昨年3月、知人の紹介で美山地区に移住された方のお宅にしばらく逗留させてもらう機会がありました。それが山県市との出逢いです。緑は深く、清流は川底の石がはっきり見えるほど澄みきっていて美しい。海に囲まれた五島列島で生まれた私にとって、山は憧れです。古きよき日本の風景がそのまま残っていて、美山地区が一度で好きになりました」

一座で稽古、さらにバーベキューも

3枚目

 柳家「今年の初めから家を探し始め、ほどなく出逢ったのが今の家です。この家は、もともと大家さんが畑仕事の休憩所として使っていたそうで、とてもきれいでした。賃貸が決まったとき、『タンスはすべて処分しましょう』と大家さんがおっしゃってくださいましたが、衣装をしまうのにタンスは重宝ですので、中身だけを整理していただきました。こちらで修繕したのは唯一、外の汲み取り式和式トイレだけです。DIYで洋式にし、ピストル式放水具を取り付け、内装をきれいにしました。この家は日当たりも風通しもよくて、稽古に集中できます。夏は若い連中20人ほどでバーベキューをして大いに楽しみました」

お孫さんと一緒に地元で観劇を

4枚目

 柳家「地域の方々はみなさん人懐っこくて温かい。仕事に集中した後、気晴らしに外に出ると、ご近所の人たちが気さくに声をかけてくださいます。野菜をいただくこともあります。特別干渉するわけでもなく、その距離感が有難い。地元の祭りで一座が芝居を披露させていただきましたが、みなさん喜んでくださって、私たちも幸せでした。できれば地元の公民館でも公演したい。それが私の夢です。おばあちゃん、おじいちゃんたちがお孫さんを呼んで、みんなで芝居を楽しんで、その後、どの家でも明るい笑い声が聞こえてくるといい。それが、私たち一座ができるせめてものご恩返しではないかと考えています」

(令和元年11月 掲載)