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「摘草料理かたつむり」で昔ながらのジビエ料理を楽しむ

記事ID:0008026 更新日:2020年2月18日更新

「摘草料理かたつむり」で昔ながらのジビエ料理を楽しむ

四季折々の野山の恵みを取り入れた地元料理の知恵

料理の画像

初めて目にする食材の数々…。その時だけの「旬」の味だ

 

私たちが野山を歩くとき、緑に染まった大地や、紅葉の鮮やかな世界などに癒されます。

しかし山県市で「摘草 料理かたつむり」を営む、清水滋人さんにとっての、そこはおいしそうなものでいっぱい。「最近、ジビエという言葉をよく耳にしますけど、昔の人々にとって、山や川の恵みは貴重な栄養源だったんですよ。春先の山菜、夏の天然ウナギ、アマゴ、そして秋のキノコ類。つまりジビエとは昔から続く地元料理だったのですね」と清水さんは言います。

 

いったい自分が何を食べているのか?

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地元ではキノコ博士とも呼ばれる清水さんの店を訪ねて、コース料理をいただきました。最近のおしゃれなジビエ料理店ではシカやクマなどが主流ですが、清水さんが使うのはツキノワグマやシカ、イノシシはもちろん、ハクビシン、アナグマ、カルガモなど多岐にわたります。コースを運ぶ女性が料理について解説してくれるのですが、わかる人は少ないと言います。例えばハクビシンを食べたことのある人はほとんどいないでしょう。

 

季節の装いも大切に、山里の味を楽しむ

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この日の前菜はアジメドジョウ、ムカゴのダンゴ マメガキなど。その後もコースは続き、ワカサギの天ぷら、オヤサトイモ、干しガキの天ぷら、ハナサキグリの素揚げで一皿。さらにアユの塩焼き(思わずホッとします)、イノシシのネック、アミタケのおろし和え、カブラとキクの足がけ、コガモのロースト、天然ヒラタケ。ここまででほとんど食べたことがあるというのは、よほどの食通か、山里で料理上手の母親に育てられた人でしょう。都市部のスーパーマーケットで売られているのは、アユ、ヒラタケ(栽培物)くらいでしょうか。

 

キノコ博士の仕込みならでは天然のキノコたち

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コースの最後は「天然キノコ鍋」。この日の食材は、ナメタケ、ムキダケ、クリフーセンダケ、ハツタケ、ヒラタケと季節の野菜のてんこ盛り。この鍋でイノシシ肉をしゃぶしゃぶでいただくのです。日によってはツキノワグマの場合もあります。食欲のある人は、鍋を雑炊にしていただくといいます。

この日の朝にご主人が山で採ってきたという、手のひらよりも大きなヒラタケとホンシメジを見せてくれました。自然とは何という素晴らしい恵みを人間に与えてくれるのでしょう。飽食といわれる現代、本当の食の贅沢とはこの里山にありました。こうした天然の素材を食べていれば、間違いなく健康になれそう。

 

キノコ博士は語る

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「俺はもう65歳だけど、険しい山を歩いているから足腰だって元気だよ。このあたりの70〜80歳の猟師のじいさんたちは、山の斜面を飛ぶように登っていくからね。人間、栄養あるものを食って、足腰を鍛えていれば、何歳になっても元気だよ」と清水さん。

食後に近所の方がやって来て、玄関先でなにやら清水さんと話し込んでいました。これぞ、清水さんがキノコの鑑定士と呼ばれる由縁。近所の方が持ち込んだキノコが食べられるのか、それとも毒キノコなのかを見分けて、食べられるキノコの場合は、おすすめの調理法まで教えてあげるのです。鑑定はもちろん無料!この30年程、キノコについての研究を重ねてきた清水さんならではですね。

 

貴重な田舎の食文化を絶やしてはいけない

店内画像

「たぶん昔は、山里に1人は俺みたいなじいさんがいて、キノコについて教えていたんだろうね。でも今では地元の人でもわからなくなってしまっている。だからこそ、俺がまだまだがんばって、後の人々に伝えていきたいね」

スーパーマーケットに行けば、肉も野菜も、キノコも売っている。しかし里山のすばらしい伝統文化が失われていくのは淋しい…。そんなことを考えながらお腹いっぱいで帰りの車に乗りました。今度、元気をなくしたときには、山県市が誇るジビエの名店を再訪しようと心に決めて。

 

「摘草料理 かたつむり」アクセス&基本情報

外観

摘草料理 かたつむり(つみくさりょうり かたつむり)

Tel 0581-36-3621

住所 岐阜県山県市長滝502

交通 JR岐阜駅から車で50分

時間 12時〜、18時〜(要予約)

休日 不定休

駐車場 3台