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大桑城跡では初めてとなる発掘調査を、「岩門」と呼ばれる場所で実施しており、今回の調査で、この伝「岩門」が巨石を使用した城門であったことを確認することができました。
このことにより、土岐氏が巨石を立て並べる技術を美濃国に導入して城門を整備するという、美濃国守護としての城づくりの一端が明らかになりました。
【調査の概要】
調査期間:令和2年10月19日(月曜日)から12月末まで(予定)
調査場所:伝「岩門」(次の地図などを参照)
調査面積:約80平方メートル
発掘調査の場所(伝「岩門」)
立体模型で見る発掘調査の場所
【調査の目的】
伝「岩門」の構造および築造時期の確認
【調査の成果】
成果1:大桑城の城門の姿が明らかになりました。
巨大な石材(最大で幅約2メートル50センチメートル、高さ約2メートル)を使用した巨石石垣、約1メートル前後の石材による立石列、斜面側の石垣により城門を形成していることを確認しました。また、巨石の裏込めには10~50センチメートルの裏込め石が充填されていました。
巨石石垣
立石列
石垣
巨石の背面造成
土塁状遺構の造成
成果2:出土遺物により伝「岩門」の時期を確認しました。
中国製磁器(染付)、瀬戸美濃産陶器、土師器皿(かわらけ)などが出土し、伝「岩門」の時期が、土岐氏の時期(16世紀前半)に築造・機能していたことを確認しました。
出土遺物
(上3点:中国製磁器(染付)、左下:瀬戸美濃産陶器、右下:土師器皿(かわらけ))
【今回の発掘調査でわかったこと】
大桑城の出入口にあたる伝「岩門」において、巨石石垣・立石列・石垣により城門を構築していることを確認することができました。また出土遺物により、この城門が土岐氏の時期のものと絞り込むことができました。
土岐氏は、城内と城外を区別する城門に巨大な石を使用することにより、城を訪れた者にその権威を見せつけようとしていたのではないかと考えられます。
【発掘調査現場の一般公開資料】
現場の一般公開は中止でしたが、配布予定だった資料を掲載します。